2022.08.30
三島の風景探訪 ~その2~

設計部の野呂です。


前回に続き、弊社の地場である三島・沼津・伊豆地域の身近な「風景」について投稿します。


 


今回は、旧三島測候所庁舎です。


国の登録有形文化財(建造物)に登録されているこの建物は、


昭和5(1930)年に「中央気象台三島支所」として建てられました。


当時は、水田が広がる土地のど真ん中に建つ施設庁舎でしたが、現在では周囲が宅地化され、


住宅地の中の公園の中にひっそりと建っています。


鉄筋コンクリート造2階建のこの庁舎は、中央部分を高くした立面で、


縦窓が整然と並びモダニズム風を基調とした意匠です。


西側の正面入り口の欄間は鉄製の格子と、ステンドグラスが嵌め込まれており、


庁舎建築という役割の中に遊び心が感じられます。


(文化遺産オンラインhttps://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/196699)



平成15(2003)年まで静岡県東部の天気予報や気象調査に役立ってきましたが、


平成21(2009)年より、三島エコセンターという名称で、測候所の役割展示はもとより、


環境学習や環境活動の拠点施設として活用されています。


マンション建設に伴う取り壊し計画がありましたが、市民や市民団体の活動により


中止となった経緯もあります。


 


建物の周囲は三島測候所記念公園として、開放されています。


槙や桜などの樹木が自然樹形で育って、地面に大きな木陰をつくっており、


酷暑の続く今の季節でも風が通り抜け、気持ちの良い空間です。


一角には市民団体がミシマサイコ(伊豆の原野で自生していた種)が栽培されています。


総じて「三島市民が大切にしている場所」という印象が感じられる場所です。


三嶋大社から徒歩20分ほどの位置にあります。ぜひ訪ねてみてください。


(三島市HP https://www.city.mishima.shizuoka.jp/kakukaHP_system_kanrika/syashsin_rekishi/v53.htm)



                            2022年8月撮影(野呂)