2017.07.05
シリーズ・徒然読書録~小川糸著『ツバキ文具店』
あれもこれも担当の千葉です。

 

伊豆半島の上空を通過するかとも思われた台風3号、幸いにもこの地域から

多少南に進路が逸れ、大きな被害はありませんでしたが、被害に遭われたり、

大変な思いをされた方々には心よりお見舞い申し上げます。

 

 

さて、読書は好きで、常時本を持ち歩く癖が付いてしまいましたが、読み方は

極めて大雑把、何かしら記憶のどこか、心の片隅に蓄積されていれば良いとの

思いで、雑然と読み流してしまいます。その意味で、読者の皆様には退屈でご

迷惑かとも恐縮しつつ、ブログに読書録なるものを記してみるのは自分にとって

有益かも知れないと思い、始めてみました。皆様のご寛恕を請う所です。

 

徒然なるままに読み散らす本の中から今回取り上げるのは、小川糸著『ツバキ

文具店』(幻冬舎刊)。



『食堂かたつむり』や『つるかめ助産院』など、ほのぼの、ほんわかする作品の

作者です。今回は新聞広告に惹かれたのと、妻に薦められて手に取りました。

ちょうど読んでいる最中にNHKで、多部未華子主演でテレビドラマ化され、

放映されましたが、作品のイメージが固定してしまわないように、テレビドラマ

は見ないままに終わってしまいました(多部未華子ファンとしては残念では

ありますが)。



鎌倉の文具店で代書屋を継いだ主人公の若い女性の、厳しくばかり育て

られたと感じ不仲となったまま死別してしまった育ての親である、今は

亡き祖母との和解の物語。



あまりピンと来ない小説でしたので、妻に聞いたところ、やはりテレビ

ドラマの方が良かったとのコメント。きっと脚本家(荒井修子さん)が

良いのでしょうか。私も、小説自体よりも、ちりばめられた言葉たちが

楽しかったです。その言葉たちを書き出して終わりにします。

 

『水茎(みずぐき)』筆、毛筆の書のこと

『三尺寝(さんじゃくね)』暑い夏の昼寝、大工がとる仮眠のような

『文房四宝』硯、墨、筆、紙のこと

『汚文字(おもじ)』字が下手な人

『みもとに』脇付

 

『後悔しないなんて、ありえないんです。ああしてあげればよかった、

あの時あんなことを言わなければよかった、ってね。でも、或る日気

づいたんですよ。失くしたものを追い求めるより、今、手のひらに残っ

ているものを大事にすればいいんだって。それに、誰かにおんぶして

もらったなら、今度は誰かをおんぶしてあげればいい。』