2017.07.31
お別れの季節~マジョルカ焼き
あれもこれも担当の千葉です。

 

いよいよ今日は3月末日、日本では多くの場面で年度が切り替わる日です。

そこに別れや新しい出逢いも生まれ、ものごとが動き、切り変わる季節となり

ます・・・・と、真面目ぶった書き出しとは裏腹に軽薄な話題です。

 

先日、物置の片付けをしていたら出て来たマグカップ。



カリフォルニア駐在時代に輸入雑貨屋さんで買い求め日用に使っていたもの

だったので、とても懐かしく、喜び勇んで職場で使い始めました。が、ひと月も

経たぬうちに手が滑り、、、



ご覧の通り。辛いお別れとなってしまいました。長い永い別離の後にようやく

晴れて再び巡り会えた恋人を忽ちのうちに失ってしまった気分、と言っては

大袈裟ですが。昨年やはり職場で使っていたお気に入りの有田も手から滑り

落ちて失くしてしまっています。形あるものの宿命ですね。



さて、この駐在時の思い出のマグカップは、ヘレンド・ヴィレッジ・ポタリー

というハンガリーのブランドのもの。



ハンガリーの陶器では私の大好きなヘレンドが有名ですが、ヴィレッジ・ポタリーは

同じヘレンドという名前を冠しながらも、これとは全く別のブランドで、伸びやかで

陽気で明るい大柄なデザインの肉厚な陶器、マジョルカ焼きのブランドです。



 

ハンガリーにはもう一つの有名なブランドのジョルナイがありますが、スズキ

自動車がハンガリーに進出しているご縁か、グランドホテル浜松さんに、

ジョルナイの展示コーナーがありました。



残念ながらハンガリーの二大ブランドは、ドイツの磁器のようにカオリン質の

高い硬質磁器ではないのですが、デザイン性に優れていて大好きです。それに

しても東ヨーロッパでラテン色の強いマジョルカ陶器というのは珍しいなと

常々不思議には思っていたのですが、先日偶然にその訳が判って長い間の疑問

が解けました。



 

サントリー美術館で開催されていた野依利之氏のコレクションの展示で、

ルネサンス期にイタリアで確立されたマジョルカ焼きがフランス、オランダ、

イギリスへと伝搬して行き(その過程でドイツ、東欧へも)、多くの現代の

ヨーロッパ陶磁器の基礎となったことを知りました。



オランダのデルフト窯は、鮮やかな藍色のデルフト・ブルーのイメージしか

なかったのですが、18世紀にはまだこうしたマジョルカ柄が主流だったと

いうことにビックリです。