2013.09.30
加速する秋~『ぬばたま』報告
あれもこれも担当の千葉です。
台風の後は、しばらく夏と秋が同居しているような気候でしたが、さすがにお彼岸を
過ぎて、一気に秋らしくなりました。二十四節気・七十二候で言うと今週はちょうど第
十六節気・秋分の次候・『蟄虫(すごもりのむし)戸をとざす』にあたります。虫が土の
中に隠れ巣籠もりの仕度を始める頃、という意味だそうです。三月の初旬がちょうど、
啓蟄の初候・『蟄虫(すごもりのむし)戸を啓(ひら)く』でしたから、春から秋の7ヶ月
の地上での活動を経て、虫たちが土の中に戻って行きます。
以前に掲載したアヤメ科の『桧扇(ヒオウギ)』。 ttp://www.szki.co.jp/blog/2013/07/0711_post_245.html
今年の梅雨明け7月上旬の写真です。この花の実、『ぬばたま』が黒いことから
和歌の枕詞となっていることをご紹介したところ、嬉しいことに、実がなった頃に
もう一度掲載して欲しいとのご要望を頂戴したため、有頂天になってその後をご
報告する次第です。
花が散り、実がついた頃。まだ暑さの厳しい9月はじめの様子です。葉の形が
扇のようになっていることから『桧扇』の名が付いたと言うのが良く判りますね。
そしてこの実の房が爆ぜて中から『ぬばたま』が現れます。
これがつい先日、9月の終わりの写真です。すっかり『ぬばたま』が現れています。
ものの本を紐解いてみたところ、『ぬばたま』は黒いことからまず『黒』にかかる枕
詞に、そして黒の連想から『夜』、『髪』の枕詞に、そして更に夜の連想から『夢』や
『月』の枕詞にも使われているとのことでした。また、ぬばたまを『射干玉』とも書く
そうですが、このぬばたまを指で押し潰しても液汁は出てこず、字の如くすっかり
と乾燥していました。子供の頃に遊んだ銀玉鉄砲の弾のようです。
我々人間が、まだ暑いまだ暑い、秋が恋しいと言っている間にも、生物達は着実に
充実の秋を迎え、更には厳しい冬を乗り越えるための準備を着々と進めていたの
ですね!大自然の営みに全く以って脱帽です。
当社の相談役の手になるカレンダーの秋の絵柄は柘榴(ザクロ)です。
私の生家の並びにかつてあった警察署長官舎に立派なザクロの木があり、実が
熟れてパクリと割れて中に透き通った紅い宝石のような粒々が見える頃には、よく
戴いて頬張ったのを想い出します。ザクロの実が熟れるのも、もうすぐですね。