設計部の野呂です。
前回に続き、弊社の地場である三島・沼津・伊豆地域の身近な「風景」について投稿します。
今回は、旧三島測候所庁舎です。
国の登録有形文化財(建造物)に登録されているこの建物は、
昭和5(1930)年に「中央気象台三島支所」として建てられました。
当時は、水田が広がる土地のど真ん中に建つ施設庁舎でしたが、現在では周囲が宅地化され、
住宅地の中の公園の中にひっそりと建っています。
鉄筋コンクリート造2階建のこの庁舎は、中央部分を高くした立面で、
縦窓が整然と並びモダニズム風を基調とした意匠です。
西側の正面入り口の欄間は鉄製の格子と、ステンドグラスが嵌め込まれており、
庁舎建築という役割の中に遊び心が感じられます。
(文化遺産オンラインhttps://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/196699)
平成15(2003)年まで静岡県東部の天気予報や気象調査に役立ってきましたが、
平成21(2009)年より、三島エコセンターという名称で、測候所の役割展示はもとより、
環境学習や環境活動の拠点施設として活用されています。
マンション建設に伴う取り壊し計画がありましたが、市民や市民団体の活動により
中止となった経緯もあります。
建物の周囲は三島測候所記念公園として、開放されています。
槙や桜などの樹木が自然樹形で育って、地面に大きな木陰をつくっており、
酷暑の続く今の季節でも風が通り抜け、気持ちの良い空間です。
一角には市民団体がミシマサイコ(伊豆の原野で自生していた種)が栽培されています。
総じて「三島市民が大切にしている場所」という印象が感じられる場所です。
三嶋大社から徒歩20分ほどの位置にあります。ぜひ訪ねてみてください。
(三島市HP https://www.city.mishima.shizuoka.jp/kakukaHP_system_kanrika/syashsin_rekishi/v53.htm)
2022年8月撮影(野呂)