2018.09.15
ブラマンク展
あれもこれも担当の千葉です。
だいぶ暑さは和らいで来ましたし、蝉時雨は私の耳の中だけになって、あたり
が暗くなると虫の音が賑やかになって来ました。が、『芸術の秋』らしく秋め
くのはもう少し先でしょうか。先日、静岡市美術館で開催中の『ヴラマンク展』
を駆け足で覗いて来ました。
とてもダンディな方ですね!
両手ともポケットに入れておられたので、握手はして貰えませんでした。
フランスの画家モーリス・ヴラマンクは、1876年生まれ、1900年に
ドランと、1901年にはマティスと出逢い、共にフォービズムの旗手とし
て世に出ますが、1907年のセザンヌ回顧展に触発されセザニアンに。
フォービズムの代表的な画家と言われながら、フォービズム期はとても短い
ということになります。この展覧会の作品は1907年に始まるので、ちょう
どこの時期に当たります。従って、今回の展示は、何のキャプションもなく
見たら、セザンヌだと思ってしまうような何枚もの作品からスタートしています。
1910年代の前半まではセザニアン期に当たり、さすがにセザンヌそのもの
かと思うような初期のものから、色や構図、タッチはセザンヌ風、形はフォー
ビズム流のような作品へと変化しています。
そして1910年代後半からはヴラマンクの象徴とも言えるような、雪景色
を多く含んだ風景画が多くなります。
壮年期以降は次第にセザンヌ的なものは影を潜めて行きます。むしろ、好んで
描かれた街並み・街角の風景画は、構図と言い色合いと言い、ちょうど同時代
の画家ユトリロを連想させます。
ヴラマンクは、音楽家一家に育ち、若い頃はオーケストラの一員として稼いだり、
自転車レースに出場して稼いだり、実に多才な人物だったことを、初めて知りま
した。また、数多くの小説も出版したことも紹介されています。絵、音楽、文学
と、多彩なる手段による表現者だったのですね。
その文学的表現者としての面目躍如、死の二年前に書いた遺書の最後の部分が
自らの墓碑となっているそうです。それを紹介して終わりにします。
私は、決して何も求めてこなかった。
人生が、私にすべてのものを与えてくれた。
私は、私ができることをやってきたし、
私が見たものを描いてきた。
ヴラマンク展は9月24日(月・祝)まで。その次は『セーブル展』です。