2013.10.04
芸術の秋?~竹内栖鳳展と速水御舟展
あれもこれも担当の千葉です。
秋は色々な活動に最適な季節だと言われます。暑くて戸外を歩き回りたくない夏
が過ぎ、物理的にも心理的にも動き回りやすくなりますね。食欲の秋で天高く
『腹』肥ゆる秋、にならぬよう(えっ?手遅れ?)先月の連休を利用して花のお江戸
の美術館回りに出向いてみました。
(東京駅日本橋口の天井)
東京駅から竹橋にある東京国立近代美術館に向かう途中、皇居前(大手門)で
自転車の大群に遭遇!
皇居大手門を中心に南北数キロにわたり歩行者天国ならぬ自転車天国になって
いました。毎週日曜日に開催しているとのことで、ランナーの憧れ・皇居ラン同様、
皇居ライドも段々憧れの対象になりつつあるそうで、無料レンタル・サイクルもあり、
地方から上京して参加する人たちまでいるそうです。
お目当ては『竹内栖鳳展~近代日本画の巨人』(10月14日まで)。竹内栖鳳は、
1864年(明治維新の3年前)に生まれ、1942年(昭和17年、太平洋戦争の最中)
に没した京都画壇の雄、近代日本画の先駆者で、上村松園、小野竹喬、土田麦
僊、池田遙邨など、その著名な弟子の名前の数々を聞くだけでも日本画壇への
貢献度の大きさが伺い知れます。
ウィキペディアによれば、『動物を描けばその匂いまで描く達人と言われた』とあり
ますが、動物に限らず、そのデッサン力といったら桁違いの力量と思われます。
年代ごとに、また、テーマごとに展示された名画の数々を追っていて気付いたの
は、栖鳳の、壮絶なまでの飽くなき探究心、です。その70有余年の生涯の早い
うちに確固たる名声を築きながら、一つの画風を極めたら、それを壊しまた次の画
風へと突き進んで行く姿勢に、文字通り圧倒されました。
恵比寿を経由して次に向かったのは広尾に移転した山種美術館。昨年夏に、デザ
イン性豊かな日本画家、福田平八郎展に出掛けて以来。
素焼きの陶板に鉄砂で波を描き、本焼きの後に飛ぶ鶴の群れを金泥で描いた
上で、更に低温の錦窯で定着させたものだそうです。加山又造が絵付けをし、
加山の義弟の陶芸家、番浦史朗が成型、窯焼きを担当したものです。
この日のお目当ては速水御舟展(こちらも10月14日まで)。サブ・タイトルに、
日本美術院の精鋭たち、とあるように、再興院展100年を記念して、横山大観、
安田ゆき彦、前田青邨などと院展の発展に多大なる貢献をした速水御舟(1894
年~1935年)の絵画を中心にした展示でした。
ちょうど出掛けた後の9月25日付けの日経新聞朝刊にこの速水御舟展の記事が
掲載されました。
記事は、『春昼』と『炎舞』の2点を取り上げ、白昼夢のような幻想味で、写実を超
えて非日常へと突き抜ける作風、と書いてありますが、40歳と言う短命を予期し
ていたかの如く、どの作品も研ぎ澄まされたような緊張感が漂っていました。
近代日本画の先人たちの作品群に触れ、日本画の素晴らしさ、奥深さを満喫で
きた一日となりました。