2016.10.13
シリーズ・徒然読書録~矢島新著『かわいい禅画~白隠と仙厓』
あれもこれも担当の千葉です。

 

読書は好きで、常時本を持ち歩く癖が付いてしまいましたが、読み方は極めて大雑把、

何かしらからだのどこかに蓄積されていれば良いという思いで、雑然と読み流します。

その意味で、読者の皆様には退屈でご迷惑かとも恐縮しつつ、ブログに読書録なる

ものを記してみるのは自分にとって有益かも知れないと思い、始めて見ました。皆様

のご寛恕を請うところです。

 

徒然なるままに読み散らす本の中から気に入ったもの、今回は矢島新著『かわいい

禅画 ~白隠と仙厓~』(東京美術刊)です。



白隠禅師といえば、江戸時代中期に、衰退していた臨済宗を再び浄土宗、真宗、日蓮宗

や曹洞宗と並ぶ宗派に盛り立てた高名な禅僧です。臨済14派全てで中興の祖と言われ

ていると、ウィキに書かれていました。

 

白隠禅師は、ここ沼津・三島にはとても縁の深いお方です。生まれが沼津市の原の長沢家。

原の松陰寺の住職の頃より名声は鳴り響いていたとのこと。我が三島にある龍澤寺も、現在

の場所に伽藍が築かれたのは白隠禅師のお陰で、実質的には白隠禅師が開祖と言われて

います。沼津にある高島酒造さんのお酒に『白隠正宗』という銘柄があるのもご当地のご縁。

更には、私の母方の縁続きのよしみで、長沢家の子孫で当時芸大にいらした長沢教授に兄

が絵を教わったのもありがたいご縁です。

 

なお、後に再び荒廃した龍澤寺を大正時代に修行道場として再・再興したのが山本玄峰老師

ですが、龍澤寺の住職と並んで、原の松陰寺の住職も兼務されていたとのことで、白隠禅師

と同じですね。

 



(半身達磨 白隠 清見寺蔵)

 

さて、白隠禅師は、禅の教えの普及のために、沢山の禅画を描かれたことで知られています。

中でも達磨像は沢山描かれています。

 



(布袋すたすた坊主  白隠  早稲田大学蔵)



(聞か猿  白隠  個人蔵)

 

これが白隠禅師の次の世代の代表格、仙崖老師となると更に『かわいさ』に磨きがかかり

ます。



(老人六歌仙 仙崖)



(仙崖)

とても剽軽なこの虎の絵を見ると、先代の龍澤寺ご老師の中川球童さんが良く年の暮れ

に下さった絵を想い出します。



(指月布袋画賛 仙崖)

 

ちょうど折良く、来週10月18日から11月27日まで、東京国立博物館で『禅~心を

かたちに』展が開催されます。白隠禅師の達磨像を含め、書画、仏像240点(国宝

22点、重文102点)の充実した展示となるそうです。



因みに、この新聞記事の右側の達磨像(白隠 大分・萬壽寺蔵)にも、先に掲げた二つの

達磨像にも、同じ禅語が書かれています。

 

『直指人心 見性成仏』 (まっすぐに自分の心を見つめよ。仏になろうとするのではなく、

本来自分に備わっている仏性に目覚めよ)

どうも達磨像に定番の言葉のようです。